純資産総額 1,000億円突破(2023.1)
*上地図は概ね投資国を表していますが、現在、ロシアは除外されています。
新興国の株式に投資するインデックスファンド、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスについて解説します。
[最終更新日:2024.10.17]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024年9月末日時点の情報に基づき記載しています。
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見出し
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの基本情報
eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」をコンセプトとした三菱UFJアセットマネジメントが運用するインデックスファンドで、「他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準を目指し続ける」と公表しています。実際、設定から既に数回の信託報酬引下げを行い、概ね最低水準の座を維持しています。
本記事で解説するのは新興国の株式に投資するeMAXIS Slim 新興国株式インデックス。
先ず、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2017年7月31日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI エマージング・マーケット・インデックス(配当込み・ネット) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.1518% 以下 |
実質コスト | 0.347%(*1) |
純資産総額 | 1,761億円(2024.9.30時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 8,190億円(2024.5.13時点) |
分配金実績 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象商品 |
NISA(成長投資枠) | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.03% |
松井証券ポイント還元年率 | 0.059% |
(*1)実質コストは2024.4.25決算の値に2023.9.8の信託報酬引下げ分を考慮した値。
(*2)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
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投資対象
ベンチマークはMSCI エマージング・マーケット・インデックス[配当込み・ネット]で新興国の株式に投資します。
ネットとは配当に対する源泉徴収税を考慮した指数ですが、その税率が日本に対して適切に考慮されているかは定かではありません。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
マザーファンド
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスはファミリーファンド方式でマザーファンドを介して新興国株式に投資します。
「新興国株式インデックスマザーファンド」はeMAXIS 新興国株式インデックス、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)、つみたて新興国株式など多くのファンドで使われており、純資産総額8,190億円(2024.5.13時点)と新興国株式としては十分大きな純資産を有しています。
投資国
投資する国、比率は下図のようになります。
画像引用:eMAXIS Slim新興国株式 月次レポート(2024/9)
1位がインド、2位が台湾、3位がケイマン諸島。
尚、ケイマン諸島は事実上中国企業と思われますので、ケイマン+中国だと依然、中国が1位になります。
投資国の詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
投資銘柄
投資している銘柄は合計1,240、ベンチマークとしているMSCI エマージング・マーケット・インデックスの構成銘柄数が1,277(2024.9時点)ですので、その殆どを保有している事になります。
組入上位10位は下表。
画像引用:eMAXIS Slim新興国株式 月次レポート(2024/9)
投資国比率1位のインドから3銘柄、2位の台湾から1銘柄、そして3位の中国(ケイマン諸島)から4銘柄が入っています。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの最大の魅力は何と言っても信託報酬の低さ。
新興国株式インデックスファンドとしては最低水準の0.1518%(税込)。
実質コストは0.347%(税込、2024.4決算時点の値から2023.5.11/9.8の信託報酬引下げ分を考慮した値)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
受益者還元型信託報酬
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは下表のように純資産総額に応じて信託報酬率が変わる受益者還元型信託報酬を採用しています。
(注意)あくまで純資産総額2,500億円(または5,000億円)以上の部分にのみ低い信託報酬が適用され、2,500億円未満の信託報酬率は変わりません。
純資産総額 | 信託報酬(税込) |
2,500億円未満の部分 | 0.1518% |
2,500億円以上5,000億円未満の部分 | 0.15169% |
5,000億円以上の部分 | 0.15158% |
純資産総額に対する信託報酬率を下図に示します。
2024.9末時点で純資産総額1,761億円ですので、受益者還元型信託報酬が適用される2,500億円突破はもう暫くかかる事でしょう。
他社 新興国株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
他社の(低コスト)新興国株式インデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
尚、下表中、SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド、SBI・新興国株式インデックス・ファンド、楽天・新興国株式インデックス・ファンド、iFree新興国株式インデックス以外のファンドは、eMAXIS Slim 新興国株式と同様、ベンチマークがMSCI エマージング・マーケット・インデックスです。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
*[]内は各ファンドのベンチマーク
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド [FTSEエマージング・オールキャップ] | 0.1438% | 0.301% |
2 | eMAXIS Slim 新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.1518% | 0.347% |
3 | SBI・新興国株式インデックス・ファンド [FTSEエマージング] | 0.1760% | 0.189% |
4 | たわらノーロード新興国株式 [MSCI EM] | 0.1859% | 0.522% |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.1859% | 0.475% |
4 | はじめてのNISA新興国株式 [MSCI EM] | 0.1859% | 0.310% |
7 | My SMT 新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.1870% | 0.433% |
8 | 楽天・新興国株式インデックス・ファンド [FTSEエマージング・オールキャップ] | 0.2120% | 0.258% |
9 | インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式 [MSCI EM] | 0.2750% | 0.537% |
10 | (三菱UFJ)つみたて新興国株式 [MSCI EM] | 0.3740% | 0.559% |
10 | 三井住友・DC新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.3740% | 0.616% |
10 | Smart-i新興国株式インデックス [MSCI EM] | 0.3740% | 0.628% |
10 | iFree 新興国株式インデックス [FTSE RAFIエマージング] | 0.3740% | 0.853% |
MSCI エマージング・マーケット・インデックスをベンチマークとするファンドの中ではeMAXIS Slim 新興国株式インデックスが信託報酬単独最安値です。
但し、実質コストでは、はじめてのNISA新興国株式に負けています。
また、ベンチマークは異なりますが、新興国株式インデックスファンドの中で最安値のSBI・V・新興国株式インデックス・ファンドとも概ね同等の信託報酬です(税抜きでは同じ)。
税込みの信託報酬ではeMAXIS Slim新興国株式インデックスがSBI・V・新興国株式インデックスより若干高くなりますが、税抜きでは同率です。
- eMAXIS Slim新興国株式インデックス
(税抜き) 0.138% (SBIと同じ)
(税込み) 0.138% x 1.1 = 0.1518% (SBIよりも若干高い) - SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド
(税抜き) 0.058% + ETF 0.08% =0.138%
(税込み) 0.058% x 1.1 + ETF 0.08% = 0.1438% (米国ETFには国内消費税がかからない為)
信託報酬の変更履歴
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは業界最低水準の運用コストを目指し続けるというコンセプト通り、既に設定から複数回の信託報酬引下げを行っています。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2017/7/31 | 0.36720% | 新規設定 |
2017/11/10 | 0.36612% | ニッセイ新興国株式の引下げに対抗 |
2017/12/13 | 0.20520% | SBI・新興国株式[雪だるま](旧名称:EXE-iつみたて)に対抗 |
2018/7/25 | 0.20412% | ニッセイ新興国株式の引下げに対抗 |
2019/10/1 | 0.2079% | 消費税増税(8%-->10%) |
2020/9/25 | 0.1870% | SBI・新興国株式に対抗 |
2023/5/11 | 0.1859% | たわらノーロード新興国株式の引下げに対抗 |
2023/9/8 | 0.1518% | SBI・V・新興国株式に対抗 |
2017/12/13、2020/9/25、2023/9/8の信託報酬引下げはベンチマークが異なるSBI・新興国株式インデックス・ファンドやSBI・V・新興国株式インデックス・ファンドに対抗したものです。新興国株式という大きな括りの中であれば、ベンチマークが異なっていても「他社類似ファンド」とみなし、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、それにも対抗し信託報酬最低水準を目指すという事になります(勿論、保証は出来ませんが)。
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eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からeMAXIS Slim 新興国株式インデックスの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
2018~2020年は概ね毎月5~15億円、2021年以降は10~30億円と安定した大きな資金流入が続いています。そして純資産総額も設定から5年半の2023.1に1,000億を超えました。
新興国株式インデックスファンドの中では最も売れているファンドです。
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
*ベンチマークは同じMSCI エマージング・マーケット・インデックスでも配当込・除くなどファンドにより異なりますが、実際の運用は両者で変わらない事から、配当込で配当課税を適切に考慮したインデックスを、ここではベンチマークと定義します。
下図は2024年9月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
*多くのファンドがコスト起因以外でのベンチマークとの乖離はないだろうという前提、かつ管理人の主観が入った評価。
新興国株式インデックスファンドの場合、コストと騰落率の相関があまり良くないのですが、その中でもeMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、ベンチマークとの乖離が殆どなく、その低いコストに応じた高い騰落率になっている事がわかります。
*はじめてのNISA、My SMTに騰落率で負けていますが、これらのファンドがベンチマークに対してプラス乖離しているのか、あるいはeMAXIS Slimがマイナス乖離しているのかは判断出来ません。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの分配金
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、本ファンドは「信託財産の成長を優先とし、原則として分配を抑制する」方針です。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
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まとめ
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、他社を圧倒的に凌駕する低い信託報酬、さらに他社類似ファンドが引下げを行っても、(今までの実績では)即座にそれに対抗した引下げを行うなど、将来にわたってコスト面で優位にたつであろうファンドです。
そして、資金流入も大きく純資産総額は順調に増えており、今、新興国株式の中で最も売れているファンドです。
ライバルとなるであろうたわらノーロード新興国株式、My SMT新興国株式インデックスや<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンドは、資金流入額が少なかったり実質コストが高かったりする為、新興国株式インデックスファンド、特にMSCI エマージング・マーケット・インデックスをベンチマークとするインデックスファンドの中では、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスが最もお勧めできるファンドと言えるでしょう。
ベンチマークとの乖離(連動性)という点も概ね問題なく、安定した運用となっています。
尚、三菱UFJアセットマネジメントが運用するeMAXIS 新興国株式インデックス(Slimがつかない)、つみたて新興国株式(つみたてんとうシリーズ)は、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスと同じマザーファンドで運用する姉妹ファンドですので、この中ではコストが圧倒的に低いeMAXIS Slimを強くお勧めします。
販売会社
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは下記の金融機関で購入出来ます。
*主にネット証券、ネット取引での取扱いとなります。
(dカードGOLDでNISA口座なら月10万円までクレカ積立還元率1.1%)
*dカード、マネックスカードとも通常ショッピング時は1.0%。
また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
公式サイトマネックス証券
また投資信託保有でVポイント、Pontaポイント、dポイントがもらえます。さらにV/Pontaポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト SBI証券
Pontaポイントで投資信託の購入も可能。
また、auじぶん銀行との連携(auマネーコネクト)でauじぶん銀行普通預金金利0.21%、au Payアプリ等の連携で最大0.31%になるのも魅力。
公式サイトauカブコム証券
また、楽天キャッシュ決済でも投資信託積立が出来ます。0.5%のポイント還元。
楽天カード決済で10万円、楽天キャシュ決済で5万円、あわせて月15万円まで利用可能。
さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト楽天証券
公式サイト楽天カード
勿論、NISA(つみたて投資枠)対象のファンドです。(成長投資枠でも購入出来ます。金融機関によってはつみたて投資枠専用としている場合もあります)
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)で取扱っているのは、マネックス証券 iDeCo、松井証券 iDeCo、SBI証券 iDeCo(セレクトプラン)等です。
ライバルとなるファンド
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス *本記事
他の新興国株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slimシリーズの他のファンドの評価・解説は下記記事をご覧ください。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス *本記事