国内の株式に投資し、日経平均株価との連動を目指すインデックスファンド、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)について解説します。
[最終更新日:2024.3.15]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024年2月末日時点の情報に基づき記載しています。
スポンサーリンク
見出し
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)の基本情報
eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」をコンセプトとした三菱UFJアセットマネジメントが運用するインデックスファンドで、「他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準を目指し続ける」と公表しています。実際、設定から既に数回の信託報酬引下げを行い、最低水準、もしくはそれに近い座を維持しています。
本記事で解説するのは、国内の株式に投資するeMAXIS Slim 国内株式(日経平均)。
先ず、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)の基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2018年2月2日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | 日経平均株価(配当込み) (日経平均トータルリターン・インデックス) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.1430% |
実質コスト | 0.148%(*1) |
純資産総額 | 708億円(2024.2.28時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 3,593億円(2023.5.22時点) |
分配金実績 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象商品 |
NISA(成長投資枠) | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.05% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.03% |
松井証券ポイント還元年率 | 0.055% |
(*1)実質コストは2023.4.25決算の値より、2023.5.11の信託報酬引下げ分を引いた値。
(*2)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
スポンサーリンク
投資対象
ベンチマークは日経平均株価[配当込](日経平均トータルリターンインデックス)で国内の株式に投資します。
*日経平均トータルリターン・インデックスは日経平均株価に配当を含めた指数です。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
マザーファンド
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は、ファミリーファンド方式で、下記マザーファンドに投資します。
画像引用:eMAXIS Slim国内株式(日経平均)交付目論見書
日経225マザーファンドは、eMAXIS 日経225インデックス(Slimがつかない)、つみたて日本株式(日経平均)などと同じマザーファンドで、3,000億円を超える巨額の純資産を持っています。
投資銘柄
投資している銘柄数は225(2024.2月末日時点)、日経平均株価の構成銘柄を全て保有しています。
組入上位10銘柄を、日経平均株価とならんで国内株式を代表する指数TOPIXとの連動を目指すeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)と比較できるよう下表にまとめます。
eMAXIS Slim国内株式 (日経平均) | eMAXIS Slim国内株式 (TOPIX) | |||
銘柄 | 比率 | 銘柄 | 比率 | |
1 | ファーストリテイリング | 11.0% | トヨタ自動車 | 5.2% |
2 | 東京エレクトロン | 9.4% | 三菱UFJ FG | 2.4% |
3 | アドバンテスト | 4.7% | ソニーG | 2.4% |
4 | ソフトバンクグループ | 4.5% | 東京エレクトロン | 2.0% |
5 | 信越化学工業 | 2.7% | キーエンス | 1.8% |
6 | KDDI | 2.3% | 三菱商事 | 1.7% |
7 | TDK | 2.0% | 日立製作所 | 1.6% |
8 | テルモ | 2.0% | 三井住友FG | 1.5% |
9 | ファナック | 1.8% | 信越化学工業 | 1.5% |
10 | ダイキン工業 | 1.8% | 日本電信電話 | 1.4% |
データ引用:eMAXIS Slim国内株式(日経平均、TOPIX)月次レポート(2024/2)
日経平均、TOPIXとも日本を代表する企業が並んでいますが、TOPIXの2,151銘柄(2024.2時点)に対し、日経平均は225銘柄と少なく、一部の銘柄、特に株価の高い銘柄(値がさ株)に集中する傾向があります。
勿論、将来どちらのパフォーマンスが良いかは分かりませんが。
TOPIX、日経平均株価の違い・比較については下記記事をご覧ください。
参考記事【国内株式インデックスファンド】TOPIX、日経平均株価どちらを選ぶ? 過去の成績を徹底比較。
スポンサーリンク
手数料(信託報酬、実質コストなど)
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)の最大の魅力は何と言っても信託報酬の低さ。
国内株式(日経平均)インデックスファンドとしては最低水準の0.1430%(税込)。
実質コストは0.148%(税込、2023.4決算時点の値から2023.5.11の信託報酬引下げ分を引いた値)。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
受益者還元型信託報酬
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は、下表のように純資産総額に応じて信託報酬率が変わる受益者還元型信託報酬を採用しています。
*以前は500億円、1,000億円で信託報酬が下がっていましたが、2023.5.11の信託報酬引下げに伴い、受益者還元型信託報酬も変更になりました。
純資産総額 | 信託報酬(税込) |
2,500億円未満の部分 | 0.1430% |
5,000億円以上5,000億円未満の部分 | 0.14289% |
5,000億円以上の部分 | 0.14278% |
但し、設定から6年で純資産総額約708億円ですので、2,500億円以上になるのはまだまだ先の事でしょう。
他社 国内株式(日経平均株価)インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
日経平均株価をベンチマークとする他社の低コスト・インデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
-- | SBI・iシェアーズ・日経225インデックス | 0.1133% | 0.458% |
-- | 楽天・日経225インデックス | 0.1320% | --- |
1 | eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 0.1430% | 0.148% |
1 | たわらノーロード日経225 | 0.1430% | 0.146% |
1 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド | 0.1430% | 0.146% |
1 | PayPay投信 日経225インデックス | 0.1430% | 0.262% |
-- | はじめてのNISA日本株式(日経225) | 0.1430% | --- |
5 | iFree 日経225インデックス | 0.1540% | 0.161% |
5 | SMBC・DCインデックスファンド(日経225) | 0.1540% | 0.163% |
5 | My SMT 日経225インデックス | 0.1540% | 0.163% |
8 | NZAM・ベータ日経225 | 0.1760% | 0.183% |
9 | 野村つみたて日本株投信 | 0.1870% | 0.193% |
9 | Smart-i 日経225インデックス | 0.1870% | 0.205% |
11 | (三菱UFJ)つみたて日本株式(日経平均) | 0.1980% | 0.202% |
12 | 日経225 インデックスe | 0.2090% | 0.218% |
-- | ニッセイ日経225インデックスファンド | 0.2750% | 0.279% |
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は、実績のある(実質コストが判明した)ファンドの中ではたわらノーロード日経225、<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド、PayPay投信 日経225インデックスとならび信託報酬最安値。
PayPay投信 日経225インデックスが2021.3に(当時)信託報酬単独最安値で新規設定されましたが、eMAXIS Slimはこれに対抗せず、しばらく最安値の座をPayPayに譲っていました。しかし、たわらノーロード日経225が2023.4に信託報酬を引下げた際にはすぐに対抗する引下げを発表し、現時点(2024.3.15)では、この3本+<購入・換金手数料なし>ニッセイ、はじめてのNISAを含む5本が同率で並んでいます。
これに、iFree 日経225インデックス等が続きます。
尚、信託報酬としては、SBI・iシェアーズ・日経225インデックス、楽天・日経225インデックス・ファンドの方が低くなっていますが、両ファンドとも未だ実質コストが不明、さらに、前者は東証ETFに投資しますが、その信託報酬以外のコストが含まれていません。
信託報酬の変更履歴
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は、業界最低水準の運用コストを目指し続けるというコンセプト通り、既に設定から3回信託報酬引下げを行い、一時期を除き信託報酬最安値の座を維持してきました。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2018/2/2 | 0.17172% | 新規設定 |
2019/2/15 | 0.1674% | Smart-i TOPIXの引下げに対抗 |
2019/5/14 | 0.1512% | 野村DC国内株式インデックスファンド・TOPIX等に対抗 |
2019/10/1 | 0.1540% | 消費税増税(8%-->10%) |
2023/5/11 | 0.1430% | たわらノーロードの引下げに対抗 結果的にPayPayにも並ぶ。 |
2019年2月、5月の信託報酬引下げはTOPIXとの連動を目指すインデックスファンドの引下げに対抗したもので、国内株式という括りであれば、日経平均株価だけではなく、TOPIXにも対抗する事を示したものです。
スポンサーリンク
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)の運用状況(評価・人気)
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からeMAXIS Slim 国内株式(日経平均)の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
これは日経平均株価との連動を目指すインデックスファンド全般に言える事ですが、資金流出入額が安定しません。短期的な売買にインデックスファンドを使っている方が多いのでしょう。
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)も同様の傾向にあり、安定した資金流入があるとは言えません。eMAXIS Slimへの投資は主にネット取引となりますが、そういう方は日経平均株価よりTOPIXを好む傾向にあるのかもしれません。
ただ、新NISAが始まった2024年1月、2月はそれぞれ65億、93億と大きな資金流入がありました。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
*ベンチマークは同じ日経平均株価でも配当込・除くなどファンドにより異なりますが、実際の運用は両者で変わらない事から、配当込インデックスを、ここではベンチマークと定義します。
尚、国内株式の場合、所有する銘柄から配当があっても、それに課税される事無くファンドの資産となります。
下図は、2024年2月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
図中グレーの点線は、コストが0の時、配当込指数と一致し、ベンチマーク騰落率から決まる傾きの直線です。
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そして点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は、最もコストが低く、そして、その低いコストに応じた高い騰落率になっている事がわかります。そして、ベンチマークとの乖離もほとんどありません。
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)の分配金
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、本ファンドは「信託財産の成長を優先とし、原則として分配を抑制する」方針です。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
スポンサーリンク
まとめ
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は他社類似ファンドが引下げを行っても、(今までの実績では)即座に、それに対抗した引下げを行うなど、将来にわたってコスト面では優位にたつであろうファンドです。
*最近は信託報酬ではなく、その他費用を含めた運用コスト全体で比較し、ファンドの継続性に配慮しつつ対抗する引き下げを検討する方針のようです。
他のeMAXIS Slimシリーズのように巨額の資金流入がある訳ではなく、純資産もそう大きくないという懸念もありますが、今後、ゆっくりとしたペースながら伸びていく事でしょう。
さらに巨額の純資産を持つマザーファンドで安定した運用も行われています。
国内株式(日経平均株価)インデックスファンドとして、お勧めできるファンドの一つです。
尚、三菱UFJアセットマネジメントが運用するeMAXIS 日経225インデックス(Slimがつかない)、つみたて日本株式(日経平均)(つみたてんとうシリーズ)は、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)と同じマザーファンドで運用する姉妹ファンドですので、この中では、コストが圧倒的に低いeMAXIS Slimを強くお勧めします。
販売会社
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は下記の金融機関で購入出来ます。
*主にネット証券、ネット取引での取扱いとなります。
(dカードGOLDでNISA口座なら月10万円までクレカ積立還元率1.1%)
*dカード、マネックスカードとも通常ショッピング時は1.0%。
また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
公式サイトマネックス証券
また投資信託保有でVポイント、Pontaポイント、dポイントがもらえます。さらにV/Pontaポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト SBI証券
Pontaポイントで投資信託の購入も可能。
また、auじぶん銀行との連携(auマネーコネクト)でauじぶん銀行普通預金金利0.21%、au Payアプリ等の連携で最大0.31%になるのも魅力。
公式サイトauカブコム証券
また、楽天キャッシュ決済でも投資信託積立が出来ます。0.5%のポイント還元。
楽天カード決済で10万円、楽天キャシュ決済で5万円、あわせて月15万円まで利用可能。
さらに、楽天ポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト楽天証券
公式サイト楽天カード
勿論、NISA(つみたて投資枠)対象のファンドです。(成長投資枠でも購入出来ます。金融機関によってはつみたて投資枠専用としている場合もあります)
ライバルとなるファンド
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) (本記事)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド
他の国内株式(日経平均)インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
本サイトでは、広く分散(銘柄、投資国)された投資を推奨しています。もし国内株式だけに投資されているのであれば、外国株式にも目を向けてみませんか?外国株式にも簡単に投資できるのが投資信託の魅力の一つです。
例えば全世界株式インデックス。eMAXIS Slimシリーズにも全世界の株式に1本で投資できるファンドがあります。
参考記事【インデックスファンド評価・解説】eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slimシリーズの他のファンドの評価・解説は下記記事をご覧ください。
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) *本記事