TOPIXとの連動を目指す国内株式インデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、運用成績(騰落率、ベンチマークとの乖離)を調査します。
*原則6カ月毎に更新します。
[最終更新日:2024.1.10]全て最新の情報に更新。
国内株式を代表する指数としてTOPIX、日経平均株価がありますが、両者の違い・比較については下記の記事をご覧ください。
参考記事【国内株式インデックスファンド】TOPIX、日経平均株価どちらを選ぶ? 過去の成績を徹底比較。
*本記事は原則2023年12月末日時点の情報に基づき記載しています。
先ず、各ファンドの純資産総額、及び、月次資金流出入額から人気のファンドを調べます。
さらに、各ファンドにより実質コスト(信託報酬+α)は異なりますが、それがちゃんとファンド騰落率に反映されているか、そしてベンチマークとの乖離を確認します。
尚、ベンチマークとの乖離、各社、決算時の運用報告書や月報に記載されていますが、これを信じてはいけません。同じTOPIXといっても、各社のベンチマークは配当込・除くと2種類有り、そのベンチマーク騰落率が異なるからです。
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見出し
TOPIXインデックスファンドのNISAつみたて投資枠対象状況
TOPIXはNISA(つみたて投資枠)の指定インデックスですので、これとの連動を目指すインデックスファンドはNISAつみたて投資枠で投資・購入出来ます。
*上記ベンチマーク連動型インデックスファンドでも必ずしもNISA(つみたて投資枠)で購入出来るとは限りません。
次章で本記事で比較・対象とするファンドの一覧表を示しますが、ここにNISAつみたて投資枠対象ファンドにはつみたて投資枠とマークをつけてあります。
*つみたて投資枠の対象商品は、成長投資枠でも購入する事が出来ます。
(一部ファンドを除く。また金融機関によってはつみたて投資枠専用としている場合もあります)
*下表はつみたて投資枠対象のTOPIXインデックスファンド全てを含んではいません。
比較した国内株式(TOPIX)インデックスファンド、その信託報酬・実質コスト・純資産総額
比較したファンド、及び、その信託報酬・実質コスト、設定日、2023年12月末日時点の純資産総額を下表にまとめます。(信託報酬の低い順に並べてあります)
*信託報酬・実質コストは税込み
*つみたて投資枠はNISAつみたて投資枠対象ファンド(2023.12末時点)。
*DC専用ファンドは参考値扱い。(表中グレーの行のファンド)
ファンド | 信託報酬 (実質コスト) | 設定日 | 純資産総額(億円) |
ステート・ストリートTOPIXインデックス | 0.1078% (---%) | 2024/1/11 | --- |
つみたて投資枠 SBI・iシェアーズ・TOPIXインデックス | 0.1133% (---%) | 2023/7/12 | 4.5 |
つみたて投資枠 eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 0.1430% (0.147%) | 2017/2/27 | 1,044.2 |
つみたて投資枠 <購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド | 0.1430% (0.146%) | 2015/4/27 | 682.6 |
つみたて投資枠 はじめてのNISA日本株式(TOPIX) | 0.1430% (---%) | 2023/7/10 | 0.4 |
DCニッセイ国内株式インデックス | 0.1430% (0.151%) | 2014/9/30 | 80.3 |
つみたて投資枠 iFree TOPIXインデックス | 0.1540% (0.165%) | 2016/9/8 | 124.0 |
つみたて投資枠 Smart-i TOPIXインデックス | 0.1540% (0.161%) | 2017/8/29 | 74.7 |
つみたて投資枠 My SMT TOPIXインデックス | 0.1540% (0.160%) | 2018/1/12 | 33.5 |
つみたて投資枠 東京海上セレクション・日本株TOPIX | 0.1540% (0.160%) | 2001/9/25 | 386.4 |
野村DC国内株式インデックスファンド・TOPIX | 0.1540% (0.158%) | 2007/9/27 | 360.0 |
One DC 国内株式インデックスファンド | 0.1540% (0.156%) | 2007/9/27 | 1,245.6 |
つみたて投資枠 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド | 0.1760% (0.185%) | 2011/12/9 | 1,108.4 |
つみたて投資枠 たわらノーロードTOPIX | 0.1870% (0.189%) | 2017/3/21 | 88.8 |
つみたて投資枠 (三菱)つみたて日本株式(TOPIX) | 0.1980% (0.202%) | 2017/8/16 | 242.3 |
つみたて投資枠 SMT TOPIXインデックス・オープン | 0.4070% (0.413%) | 2008/1/9 | 267.1 |
日本株式インデックスe | 0.4070% (0.412%) | 2010/4/6 | 38.7 |
つみたて投資枠 eMAXIS TOPIXインデックス | 0.4400% (0.444%) | 2009/10/28 | 206.2 |
つみたて投資枠 野村インデックスファンド・TOPIX[Funds-i] | 0.4400% (0.444%) | 2010/11/26 | 54.5 |
[日興]インデックスファンドTOPIX(日本株式) | 0.6820% (0.686%) | 2001/10/31 | 249.2 |
野村アセットマネジメントが同社の確定拠出年金用ファンド(野村国内株式インデックスファンド・TOPIXなど)の信託報酬引下げを2019年2月6日に発表したのを契機に、eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)、iFree TOPIXインデックス、<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドと引下げが相次ぎ、
Smart-i TOPIXインデックスも2020年2月28日、東京海上セレクション・日本株TOPIXが2020年10月1日に引下げ、
さらにMy SMT TOPIXインデックスも2022年7月21日に信託報酬を引下げ(同時に名称をiSMTからMy SMTに変更)、
一時期この6本が0.154%で同率最安値となっていました。
その後、暫くは主なファンドの信託報酬改定がなく、日経平均株価連動型ですがPayPay投信日経225インデックスが2021年3月8日に信託報酬 0.143%(税込)で設定、また、DC専用でTOPIX連動型のDCニッセイ国内株式インデックスが2022年5月21日に信託報酬0.143%に引き下げたものの、これらに対抗する動きもありませんでした。
しかし、(日経平均連動型の)たわらノーロード日経225が0.143%に引下げを行うと、すぐにeMAXIS Slim国内株式が日経平均のみならずTOPIXも対抗した引下げを行い、さらに<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドも対抗した引下げで、現在、0.143%でこの3本が同率最安値で並んでいます。
尚、2023.7.10に設定されたはじめてのNISA・日本株式インデックス(TOPIX)も0.143%で上記3本に並びました。
さらに2023.7.12にSBI・iシェアーズ・TOPIXインデックス・ファンドが信託報酬0.1133%で新規設定され、信託報酬としては単独最安値となりますが、本ファンドの場合、投資先ETFの信託報酬以外のコストを別途負担する事になると思われますので、実際のコストは運用結果を見ないと判断出来ません。
そして、2024年1月11日にステート・ストリートTOPIXインデックス・オープンが信託報酬最安値で新規設定されます。今後の運用結果、そしてeMAXIS Slim等が追従する信託報酬引下げを行うかにも注目です。
純資産総額1位は三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンドで1,108億。
常に最低水準の運用コストを目指すeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)は比較的設定が新しいにも関わらず1,044億円と十分大きな純資産で、<購入・換金手数料なし>ニッセイを超えました。
<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドも設定から約8年半強ですが683億円と健闘しています。
一方、たわらノーロード、iFree TOPIXインデックスはそれぞれ89億、124億、My SMTはまだ34億です。
当初、実質コストが非常に大きかったSmart-iは、徐々に信託報酬以外のコストが下がり、現在ではほぼ他のファンドと同等になってきましたが、純資産総額は75億に留まっています。
最新の信託報酬・実質コスト等は下記記事を参照して下さい。
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資金流出入額 [国内株式(TOPIX)インデックスファンド 人気ランキング]
2023年下半期(7~12月)の概算の月次資金流出入額(*)6カ月合計、及び2023年合計を見てみます。
2023年下半期の資金流出入額が大きい順にならべてあります。
どのファンドが多く購入されているかの人気ランキングになりますが、純資産が増える事は、それだけ安定した運用にもつながりますし、繰上償還のリスクも減ります。
ただの人気ランキングとしてではなく、ファンド選択の重要な指標の一つとしてみて下さい。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出。
例えば、3月5日の日次資金流出入額は
(3月5日の純資産総額) - (3月4日の純資産総額) x (日次騰落率 + 1)で計算し、
これを1カ月分足して月次資金流出入額としています。
2023年下半期(7~12月) | 2023年合計 | |||
順位 | ファンド | (億円) | 順位 | (億円) |
1 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 197.1 | 1 | 264.1 |
2 | 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド | 88.1 | 2 | 161.4 |
3 | (三菱)つみたて日本株式(TOPIX) | 27.7 | 5 | 23.0 |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド | 18.2 | 3 | 28.3 |
5 | My SMT TOPIXインデックス | 16.2 | 7 | 19.9 |
6 | 東京海上セレクション・日本株TOPIX | 15.4 | 6 | 22.8 |
7 | Smart-i TOPIXインデックス | 15.1 | 4 | 25.3 |
8 | たわらノーロードTOPIX | 12.5 | 8 | 17.9 |
9 | iFree TOPIXインデックス | 9.1 | 9 | 12.9 |
10 | eMAXIS TOPIXインデックス | 7.7 | 15 | -14.2 |
11 | インデックスファンドTOPIX(日本株式) | 4.9 | 11 | 1.2 |
12 | SBI・iシェアーズ・TOPIXインデックス・ファンド | 4.1 | 10 | 4.1 |
13 | 野村インデックスファンド・TOPIX | 3.0 | 14 | -4.7 |
14 | はじめてのNISA・日本株式インデックス(TOPIX) | 0.4 | 12 | 0.4 |
15 | 日本株式インデックスe | -1.0 | 13 | -1.6 |
16 | SMT TOPIXインデックス・オープン | -9.9 | 16 | -22.1 |
参考 | One DC 国内株式インデックスファンド | 122.0 | 参考 | 220.0 |
参考 | 野村DC国内株式インデックスファンド・TOPIX | 23.2 | 参考 | 37.3 |
参考 | DCニッセイ国内株式インデックス | 15.4 | 参考 | 28.3 |
2023年下半期の上位3ファンドは、
2位 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド
2023年合計では、
1位、2位は同じ、
3位が<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド
になります。
低コストながら資金流入が伸びないのがSBI、はじめのNISA。
eMAXIS Slim、三井住友・DC、<購入・換金手数料なし>ニッセイの資金流出入額の比較
2023年下期1位、2位のeMAXIS Slim、三井住友・DCつみたてNISA、年間3位の<購入・換金手数料なし>ニッセイ、この3本の資金流出入額の推移を見てみます。
*各年の1~3月、4~6月、7~9月、10~12月期、それぞれの資金流出入額の合計
3本が競い合っている状態ですが、その中で2019年に頭一つ抜け出したのが三井住友・DCつみたてNISA。確定拠出年金などで購入している方が多いのか、毎月の資金流入額が安定しています。
しかし、2020年以降はeMAXIS Slimが急速に伸びてきました。特に2023年下期は大きな資金流入がありました。
一方、<購入・換金手数料なし>ニッセイは資金流出の月があるなど安定しません。
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リターンの比較。実質コスト(信託報酬+α)が騰落率に反映されているか? ベンチマークとの乖離は?
2023年12月末時点の各ファンドの騰落率を見てみます。
*騰落率は各ファンドの基準価額から管理人が独自に計算した結果です。
*騰落率は全て分配金再投資時(分配金課税無)の基準価額より計算。
*実質コストに対する騰落率を見ていきますが、期中に信託報酬の変更があったファンドは、その期間に応じて按分した実質コストを用います。
騰落率とコストの関係は、理想的には配当課税を適切に考慮したインデックス(指数)騰落率(これを「真のインデックス」と定義)から決まる傾き、切片の直線になります。国内株式の場合、配当が出ると、それに課税される事無くファンドの資産に入りますので、配当込指数が「真のインデックス騰落率」となります。
図中、茶色の横線は配当込指数の値です。そして、グレーの点線が傾きが-(1+インデックス騰落率)、切片(コストが0の時)がインデックス騰落率(=配当込指数)の直線です。
*配当込み指数値は日本取引所グループ・サイトより引用。
6カ月騰落率
先ずは、2023年12月末日時点の6カ月騰落率を見てみます。
実質コスト/2に対して6カ月騰落率をプロットします。
(一部ファンドを除き)各ファンド、概ねコストと配当込み指数から決まる図中グレーの線上にのっていますが、超低コスト(実質コスト<0.2%/2)のファンドは、そのコスト差が小さい事もあり、ファンド間の差は良く分かりません。
ただ、東京海上がプラス側に乖離しているように見えます。
1年騰落率
次に2023年12月末日時点の1年騰落率を見てみます。
殆どのファンドが配当込み指数から決まる図中グレーの線上にのっており、それぞれのコストに応じた騰落率となっています。これはコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がない事を意味します。
ただ、Smart-iが僅かにマイナス側に、東京海上が若干プラス側に乖離しているように見えます。
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まとめ & 国内株式(TOPIX)のおすすめファンド(投資信託)は?
以上、国内株式(TOPIX)インデックスファンドについて、純資産総額、資金流出入額、騰落率、さらにベンチマークとの乖離を評価しました。
人気を集めている=資金流入額が大きいのがeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)、三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド、
信託報酬はeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)、<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドが(長期の運用実績があるファンドでは)同率最安値です。
ベンチマークとの乖離は一部ファンドで僅かな乖離が見られたものの、多くのファンドで概ね問題なく、それぞれのコストに応じた騰落率となっています。
おすすめの国内株式(TOPIX)インデックスファンド
(ここでは示しませんでしたが)マザーファンドの大きさ、資金流入額の多さ、さらに今後の信託報酬引下げ競争でも優位にたつであろう点を考慮すれば、
が現時点のおすすめファンド。
ただ、コスト差が小さいことから、
<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド、三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド、iFree TOPIXインデックスを選択しても大きな差はないでしょう。
*「おすすめ」というのは必ず利益が出るという意味ではありません。他の類似ファンドに比べ、同等以上の成績を残すであろうと管理人の主観・推測で選んだものです。最終的なファンドの選択はご自身の判断で行ってください。
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eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)は主にネット証券で取り扱っています。
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勿論、NISA(つみたて投資枠)対象のファンドです。
また、参考データとして取り上げたOne DC国内株式インデックスファンドは確定拠出年金専用ファンドで、個人型確定拠出年金(iDeCo)ではマネックス証券 iDeCo 、松井証券 iDeCoで取扱っています。
TOPIXとの連動を目指すETFの比較については下記記事をご覧ください。
他のアセットクラスの最新の情報・結果は下記記事を参照して下さい。
米国株式(S&P500/CRSP USトータル・マーケット)インデックスファンド
国内株式(TOPIX)インデックスファンド (本記事)
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