*上の地図は大体の投資国を表していますが、現在、ロシアは投資国から除外されています
純資産総額 5,000億円突破(2024.5~6)
日本を除く先進国、新興国、両方の株式に投資するインデックスファンド、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)について解説します。
[最終更新日:2024.11.2]純資産総額、「最新の騰落率」を2024.10末時点の情報に更新。
実質コスト、マザーファンド純資産総額を最新の情報に更新。
[2024.4.12]全て最新の情報に更新。
本記事は原則2024.3末日時点の情報に基づき記載しています。
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eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の基本情報
eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」をコンセプトとした三菱UFJアセットマネジメントが運用するインデックスファンドで、「他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準を目指し続ける」と公表しています。実際、設定から既に数回の信託報酬引下げを行い、最低水準、もしくはそれに近い座を維持しています。
今回解説するのは1本のファンドで先進国・新興国両方の株式に投資するeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)。
先ず、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の基本情報をまとめます。
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2018年3月19日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド |
ベンチマーク | MSCI All Country World Index(除く日本)(配当込み・ネット) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.05775%以内 |
実質コスト | 0.116%(*1) |
純資産総額 | 5,935億円(2024.10.31時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | [先進国株式]24,218億円(2023.5.12時点) [新興国株式]4,196億円(2023.5.12時点) |
分配金実績 | 無 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象商品 |
NISA(成長投資枠) | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.0175% |
楽天証券ポイント還元年率 | ---%(*2) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 0.0175% |
松井証券ポイント還元年率 | 0.0175% |
(*1)実質コストは2024.4.25決算の値に期中の信託報酬引下げ分を考慮した値。
(*3)楽天証券 2022.4より投資信託保有による毎月のポイント還元は廃止され、残高が初めて一定の金額を超えたときのポイント付与に変更(一部ファンドを除く)。
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投資対象
ベンチマークはMSCI All Country World Index [ACWI](除く日本)[配当込み・ネット]で、日本を除く先進国、新興国の株式に投資します。
ネットとは配当に対する源泉徴収税を考慮した指数です。ただ、その税率が日本に対して適切に考慮されているかは定かではありません。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
投資国
投資する国、比率は下図のようになります(2024.1末時点の指数の構成比率)。
先進国株式、新興国株式の比率は時価総額比で決まり、現時点(2024.1末)で先進国89%、新興国11%程度です。
1位は米国、約67%を占めます。
そして4位に新興国の中国が3%程度。
詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事【外国株式インデックスファンド】各インデックス(指数)、そして先進国、新興国ってどこの国?
投資銘柄
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)1本で先進国株式 1,247、新興国株式 1,309、合計2,556もの銘柄に投資しています。
先進国株式、新興国株式の組入上位5銘柄は下表のようになります。
画像引用:eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) マンスリーレポート(2024/3)
先進国株式は全て米国、新興国株式はトップが台湾 TSMC、そして2銘柄を中国(ケイマン諸島籍)が占めています。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の最大の魅力は何と言っても信託報酬の低さ。
全世界株式インデックスファンドとしては概ね最低水準の0.05775%(税込)です。
実質コストは6期目決算で0.116%(2024.4決算値に2023.5/9の信託報酬引下げ分を考慮した値)、マザーファンドが既存のもので巨額の純資産を有するだけに信託報酬以外のコストも十分低く抑えられています。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
受益者還元型信託報酬
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は下表のように純資産総額に応じて信託報酬率が変わる受益者還元型信託報酬を採用しています。
純資産総額 | 信託報酬(税込) |
2,500億円未満の部分 | 0.05775% |
2,500億円以上5,000億円未満の部分 | 0.05764% |
5,000億円以上の部分 | 0.05753% |
2,500億円、5,000億円以上の部分に対する信託報酬がさらに低くなります。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は設定から6年強の2023年5月に純資産総額が2,500億円を突破、受益者還元型信託報酬が適用されています。
純資産総額に対する信託報酬率を下図に示します。
2024年3月末日時点の純資産総額は4,539億円ですので、受益者還元型信託報酬が適用された実際の信託報酬は0.05770%となります。
他社 全世界株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
MSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとする他社のインデックスファンドと信託報酬・実質コストを比較します。
さらに、eMAXIS Slimシリーズの個別のファンド(先進国株式、新興国株式)を88%:12%の比率で組み合わせた場合も参考までに記載します。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) [MSCI ACWI 除く日本] | 0.05775% | 0.116% |
個別ファンドの組合せ | 0.1052% | ||
2 | Smart-i Select 全世界株式(除く日本) [MSCI ACWI 除く日本] | 0.1144% | 0.183% |
3 | 野村つみたて外国株投信 [MSCI ACWI 除く日本] | 0.2090% | 0.231% |
4 | 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株 [MSCI ACWI 除く日本] | 0.2750% | 0.349% |
5 | eMAXIS全世界株式インデックス [MSCI ACWI 除く日本] | 0.6600% | 0.717% |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の信託報酬は、MSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとする全世界株式インデックスファンドの中では単独最安値、2位のSmart-i Select全世界株式インデックス(除く日本)とは0.057ポイント、3位の野村つみたて外国株投信には0.151ポイントもの大きな差をつけています。
また、他のベンチマークを含めた全世界株式インデックスファンドの中でも概ね最低水準の信託報酬です。
個別のインデックスファンドとの組合せと、どちらがお得か?
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の信託報酬は0.05775%(税込)。
一方、eMAXIS Slim先進国株式、新興国株式を組み合わせた場合の信託報酬は、先進国株式:新興国株式の配分比率を88%:12%とすると0.1052%、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は個別ファンドの組み合わせより0.05%ポイントも低くなります。
信託報酬の変更履歴
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は設定から4回、信託報酬引下げの実績があります。
引下げ日 | 信託報酬(税込) | 備考 |
2018/3/19 | 0.15336% | 新規設定(SBI・全世界株式に対抗した設定) |
2019/8/9 | 0.1296% | たわらノーロード全世界株式に対抗 |
2019/10/1 | 0.1320% | 消費税増税(8%-->10%) |
2019/11/12 | 0.1144% | SBI・全世界株式に対抗 |
2023/5/11 | 0.1133% | たわらノーロード全世界株式に対抗 |
2023/9/8 | 0.05775% | はじめてのNISA、Tracersに対抗 |
新規設定時の信託報酬はSBI・全世界株式インデックス・ファンドに対抗したものです。(税抜きでの信託報酬が同じ)
その後、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と同じベンチマークのたわらノーロード全世界株式が低い信託報酬で新規設定、さらにSBI・全世界株式インデックス・ファンドの信託報酬引下げ、いずれもeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)とはベンチマークが異なりますが、他のeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー、3地域均等型)同様、これらに対抗して2回信託報酬の引下げを行いました。
2023.5.11にもたわらノーロード全世界株式に対抗し3回目の引下げ、そして、はじめてのNISA全世界株式(オール・カントリー)等に対抗し2023.9.8に4回目、しかも大幅な引下げを実施します。
このように細かいベンチマークの差異によらず、概ね同じ地域の同じ資産クラスに投資するファンドであれば「類似ファンド」とみなし、これに対抗して引き下げてくれるところがeMAXIS Slimシリーズの魅力でもあります。(勿論、保証は出来ませんが)
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eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
2018年3月の設定以来、徐々に資金流入を増やしていますが、特に2020年以降、その人気に拍車がかかり、直近では殆どの月で60億を超え、100億を超える月もあります。。
純資産総額も順調に伸びています。
日本を含む全世界の株式に投資するeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)には資金流入額で負けるものの、MSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとするファンドの中では最も人気のあるファンドです(管理人調べ、2024.3時点)。
運用状況は?
インデックスファンドではベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は、2024年3月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
*ベンチマークは同じMSCI ACWI(除く日本)でも配当込・除くなどファンドにより異なりますが、「配当込で配当課税を適切に考慮したインデックス」をここでは真のベンチマークと定義し、そして真のベンチマークで決まる傾き、切片の直線を図中グレーの点線で示しています。(多くのファンドがコスト要因以外での乖離はないであろうとの前提で管理人の主観で引いた直線)
グラフの左側(コストが低い)、上側(騰落率が高い)にあり、そしてグレーの点線上にある(乖離が少ない)ファンドが優秀なファンドという事になります。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は(コスト要因以外での)ベンチマークに対する乖離がない安定した運用になっていることがわかります。そして、その低いコストに応じた高い騰落率になっており、勿論、同種のファンドの中でトップの騰落率です。
上図の評価期間(1年)には2023.9.8の信託報酬引下げ後の期間は約2/3のみですので、今後は他のファンドとの差がさらに大きくなっていくと推測されます。
尚、配当課税を適切に考慮した「真のベンチマーク」は、グロスとネットの中間、図中ピンクの星印近傍にあると思われます。
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eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の分配金
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、本ファンドは「信託財産の成長を優先とし、原則として分配を抑制する」方針です。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
最新の騰落率[利回り](野村つみたて外国株投信、三井住友・DCつみたてNISA・全海外株と比較) ~2024年10月末日時点~
*本章は原則毎月更新します。
最新の騰落率をライバルファンドとともにまとめます(本章は原則毎月更新します)。
*3年・5年騰落率は年率表記。
[表をクリックすると拡大します]
直近の成績で見ても、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)はベンチマークが同じ野村つみたて外国株投信、三井住友・DCつみたてNISA・全海外株より高い騰落率を示しています。
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インターネット限定新規口座開設者優遇プラン スターワン円定期預金、1年 年0.60%(税引前)と好金利。
公式サイト東京スター銀行まとめ
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)はMSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとするインデックスファンドの中では最も信託報酬が低く、さらに他のベンチマークを含めた全世界株式インデックスファンドの中でも概ね最低水準の信託報酬です。
ベンチマークが同じファンドの中では最も売れており、かつ、その運用も安定しています。
国内株式を含みませんが、国内には投資しないという方、あるいは国内は別のファンドや個別銘柄で投資するという方にとって、低コストで先進国株式、新興国株式両方に1本で投資できる本ファンドは有力な選択肢の一つとなる事でしょう。
一方で、日本を含めて全世界の株式に1本のファンドで投資したい方にはeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)をお勧めします。
尚、同じMSCI ACWI(除く日本)をベンチマークとし、同じ三菱UFJアセットマネジメントが運用するeMAXIS 全世界株式インデックス(Slimがつかない)は、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)と同じマザーファンドで運用する姉妹ファンドですので、コストが圧倒的に低いeMAXIS Slimを強くお勧めします。
販売会社
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は下記の金融機関で購入出来ます。
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勿論、NISA(つみたて投資枠)対象のファンドです。(成長投資枠でも購入出来ます。金融機関によってはつみたて投資枠専用としている場合もあります)
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ライバルとなるファンド
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) *本記事
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)
Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス全世界株式
他の全世界株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。
eMAXIS Slimシリーズの他のファンドの評価・解説は下記記事をご覧ください。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) *本記事