米国の株式市場を代表する指数S&P500との連動を目指すインデックスファンド、SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドについて解説します。
[最終更新日:2021.3.1]純資産総額、「最新の騰落率」を2021.2末の情報に更新。
[2020.11.27]全て最新の情報に更新。
*本記事は原則2020年10月末日時点の情報に基づき記載しています。
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SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・バンガード・S&P500)の基本情報
SBI・バンガードシリーズ(?)はSBIアセットマネジメントがバンガードとの共同ブランドファンドとして2019.8.27に発表されました。バンガードのETFに投資する事実上のFOFとなります。現時点ではS&P500との連動を目指すETF VOOに投資するSBI・バンガード・S&P500、1本のみのラインアップです。
今回解説するのはS&P500との連動を目指し米国株式に投資するSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド。
先ず、SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドの基本情報をまとめます。
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
設定日 | 2019年9月26日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド *マザーファンドがバンガードETFに投資するので事実上FOF。 |
ベンチマーク | S&P500(配当込み・ネット) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.0938% |
実質コスト | 0.114% |
純資産総額 | 1,319億円(2021.2.26時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 704.2億円(2020.9.14時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.02% |
楽天証券ポイント還元年率 | (取扱無し) |
投資対象
ベンチマークはS&P500[配当込み・ネット]で米国株式に投資します。
S&P500は米国の大型株 約500銘柄から構成された時価総額加重平均型の指数で、米国株式の約80%をカバーします。米国株式を代表する指数と言っても良いでしょう。
米国株式の各指数の詳細な解説は下記記事をご覧ください。
ネットとは配当に対する源泉徴収税を考慮した指数ですが、その税率が日本に対して適切に考慮されているかは定かではありません。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
マザーファンド
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドはファミリーファンド方式でマザーファンドを介して米国株式に投資します。
実際の運用はマザーファンドを通してバンガード社のETF Vanguard・S&P500 ETF【VOO】に投資します。
画像引用:SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド 交付目論見書)
Vanguard・S&P500 ETF 【VOO】
Vanguard・S&P500 ETF【VOO】は米国を代表する大型株500銘柄から構成されるS&P500との連動を目指して運用するETFです。
経費率は0.03%と非常に低コスト。
保有する銘柄数は508(2020.10末時点)で組入銘柄上位10は下表の通り。
銘柄 | TICKER | 比率 | |
1 | Apple Inc. | AAPL | 6.42% |
2 | Microsoft Corp. | MSFT | 5.62% |
3 | Amazon.com Inc. | AMZN | 4.74% |
4 | Facebook Inc. | FB | 2.32% |
5 | Alphabet Inc. | GOOGL | 1.78% |
6 | Alphabet Inc. | GOOG | 1.74% |
7 | Berkshire Hathaway Inc. | BRK.B | 1.45% |
8 | Johnson & Johnson | JNJ | 1.32% |
9 | Procter & Gamble Co. | PG | 1.25% |
10 | NVIDIA Corp. | NVDA | 1.13% |
データ引用:米国Vanguard社サイトより
アップル、マイクロソフト、アマゾンといった米国のみならず世界を代表する企業が上位を占めています。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドの信託報酬は0.0638%(税込み)。
これに投資先ETF VOOの経費率 0.03%を加えて、
実質的な信託報酬は0.0938%(税込み)。
S&P500だけでなく米国株式を投資対象としたインデックスファンドの中では最低水準です。
実質コストは、2020.9.14に初回決算を迎え0.114%(税込み)。
非常に低い値になっていますが、これはマーケットメーカーから直接VOOを購入し、売買委託手数料が0になっている為との事。詳細は下記ページをご覧ください。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
他社 米国株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
S&P500、及びベンチマークは異なりますが米国株式に投資する他社の低コスト・インデックスファンドと比較してみます。
*ファンド名下の[]内はベンチマーク。[CRSP US]はCRSP USトータル・マーケット・インデックスの略。
*信託報酬・実質コストは税込み表記。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | SBI・バンガードS&P500インデックス [S&P500] | 0.0938% | 0.114% |
2 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) [S&P500] | 0.0968% | 0.141% |
DC専用? | SMBC・DCインデックスファンド(S&P500) [S&P500] | 0.0968% | (決算前) |
3 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド [CRSP US] | 0.1620% | 0.209% |
4 | つみたて米国株式(S&P500) [S&P500] | 0.2200% | 0.273% |
5 | NZAM・ベータ・NYダウ30 [NYダウ] | 0.2310% | (決算前) |
6 | Smart-i S&P500インデックス [S&P500] | 0.242% | (決算前) |
7 | iFree S&P500・インデックス [S&P500] | 0.2475% | 0.280% |
7 | iFree NYダウ・インデックス [NYダウ] | 0.2475% | 0.276% |
7 | たわらノーロード NYダウ [NYダウ] | 0.2475% | 0.382% |
- | eMAXIS NYダウインデックス [NYダウ] | 0.6600% | 0.687% |
*実質コストは信託報酬以外のコストに全て消費税がかかると仮定して、消費税8%から10%に換算した概算値です。
米国株式に投資するファンドでSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドが最も低い信託報酬(税込み)。そして実質コストでも最安値です。
同じS&P500との連動を目指すeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬とは僅差。
(税抜きではeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と同率です。SBI・バンガードは投資先ETFに消費税がかからない為、税込みでは若干有利となります)
楽天・全米株式インデックスやiFree S&P500インデックスには大きな差をつけています。
SBI・バンガード・S&P500の配当に対する税制上の不利(三重課税)は無し。
米国ETFに投資する場合、所有する株式から出る配当の課税が現地国、米国、そして最終的には日本と三重課税になる事があります。
しかし、SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは米国だけに投資するファンドですので、現地国=米国となり配当に対する税制上の不利は生じません。
国内から直接投資するeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と同じです。
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドの運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値になります。
(*)SBI・バンガード・S&P500の資金流入額には当初募集期間の金額は含まれません。
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは2019年9月26日設定(2019年9月12日より募集)と未だ新しいファンドですが、2020年には毎月40~100億円と多くの資金流入があります。
純資産総額も僅か1年余りで1,000億円を超えています(2020.12.30時点)。
さすがにeMAXIS Slim米国株式には敵いませんが、十分売れている、人気のあるファンドです。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は2020年10月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
そして、(多くのファンドが乖離がないであろうとの前提のもと管理人の主観で決めた)配当課税を適切に考慮した真のベンチマークから決まるコストと騰落率の関係が図中グレーの点線です。このグレーの点線上にあればコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がないと推測できます。
S&P500の場合、各ファンド、コストと騰落率の相関があまり良くありませんが、その中でSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは図中点線より大きく下方に位置し、ベンチマークとのマイナス乖離が非常に大きい可能性があります。
折角の低い実質コストですが、まだ、それが騰落率に反映されているとは言えません。
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドの分配金
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
最新の騰落率[利回り](eMAXIS Slim米国株式との比較) ~2021年2月末日時点~
最新の騰落率をライバルファンドとともにまとめます。
*3年騰落率は年率表記。
[表をクリックすると拡大します]
*2月の結果ですので年初来は2カ月騰落率です。
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは、1カ月を除きeMAXIS Slimに騰落率で大きく負けています。まだ、運用の安定性(=ベンチマークとの連動性)という点で懸念があるように思えます。
尚、楽天・全米株式インデックス・ファンドはベンチマークが異なりますので参考値として見て下さい(中小型株有無の違い)。
まとめ
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは、S&P500をベンチマークとするインデックスファンドの中ではeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と並び信託報酬が低く、さらに他のベンチマークを含め米国株式インデックスファンドの中でも最低水準の信託報酬です。
そして初回決算を迎え、実質コストでも最安値である事が判明しました。また、設定から僅か1年余りにも関わらず早くも大きな人気を集めています。
課題は、現時点で未だベンチマークとの乖離が生じ、折角の低いコストが騰落率に反映されていない事。今後徐々に解消していく事を期待します。
いずれにせよ、米国株式を中心に投資したい方にとって、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス・ファンドとともに有力な選択肢の一つとなるファンドです。
販売会社
SBI・バンガード・S&P500インデックスファンドは下記の金融機関で購入出来ます。
SBI証券
投資信託保有で毎月Tポイントがもらえます。さらにTポイントで投資信託を購入する事も出来ます。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイト SBI証券
SMBC日興証券(ダイレクトコース)
大手店頭証券で唯一eMAXIS Slimシリーズを取扱い(ダイレクトコースのみ)。
国内株式を定額(100円~)、買付手数料無料(100万円以下)で買付・積立出来、さらにdポイントも使えるキンカブ・日興フロッギーも魅力の証券会社。
(つみたてNISAでも購入可能)
公式サイトSMBC日興証券
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。(上記金融機関でもつみたてNISAを取扱っていない場合があります。またつみたてNISAでしか購入できない金融機関もあります)
*当初SBI証券だけの取り扱いでしたが、2020.4以降販売会社が増えてきました。
2020.11時点楽天証券では取り扱っていません。
尚、個人型確定拠出年金(iDeCo)で取扱っている金融機関はありません。
ライバルとなるファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド)
iFree S&P500インデックス
他の米国株式インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。