米国の株式市場を代表する指数S&P500との連動を目指すインデックスファンド、SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(旧名称:SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド)について解説します。
[最終更新日:2023.9.2]純資産総額、「最新の騰落率」を2023.8末時点の情報に更新。
[2023.3.17]全て最新の情報に更新。
*本記事は原則2023年2月末日時点の情報に基づき記載しています。
但し、ライバルとなるeMAXIS Slimの信託報酬は2023.4.25以降の引下げ後の値で記載。
純資産総額 1兆円円突破(2023.6.29)
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見出し
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(SBI・バンガード・S&P500)の基本情報
2021年6月15日、従来の「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」は「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」に名称が変更になりました。
SBI・Vシリーズは、SBIアセットマネジメントがバンガード社ETFに投資する事実上のFOFとして運用する低コストのインデックスファンドです。S&P500との連動を目指すETF VOOに投資するSBI・V・S&P500に加え、VTIに投資するSBI・V・全米株式インデックス・ファンド、VYMに投資するSBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド、VTに投資するSBI・V・全世界株式インデックス・ファンドと、現在4本のラインアップです。
本記事で解説するのはS&P500との連動を目指し米国株式に投資するSBI・V・S&P500インデックス・ファンド。
先ず、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドの基本情報をまとめます。
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
設定日 | 2019年9月26日 |
運用形態 | インデックスファンド |
投資形態 | ファミリーファンド *マザーファンドがバンガードETFに投資するので事実上FOF。 |
ベンチマーク | S&P500(配当込み・ネット) |
購入時手数料 | 無 |
信託財産留保額 | 無 |
信託報酬(税込) | 0.0938% |
実質コスト | 0.104%(*1) |
純資産総額 | 11,007億円(2023.8.31時点) |
(マザーファンド) 純資産総額 | 6,855億円(2022.9.14時点) |
分配金実績 | 無 |
つみたてNISA | 対象商品 |
SBI証券ポイント還元年率 | 0.0220% |
楽天証券ポイント還元年率 | (取扱無し) |
マネックス証券ポイント還元年率 | 対象外 |
(*1)2022.9決算結果より
投資対象
ベンチマークはS&P500[配当込み・ネット]で米国株式に投資します。
S&P500は米国の大型株 約500銘柄から構成された時価総額加重平均型の指数で、米国株式の約80%をカバーします。米国株式を代表する指数と言っても良いでしょう。
米国株式の各指数の詳細な解説は下記記事をご覧ください。
ネットとは配当に対する源泉徴収税を考慮した指数ですが、その税率が日本に対して適切に考慮されているかは定かではありません。
*インデックスファンドのベンチマークは[除く配当]と[税引前配当込/グロス]、[税引後配当込/ネット]の3種類ありますが、ベンチマークの配当除く・含むは運用成績に直接関係するものではありません(少なくとも過去においては)。但し、運用報告書などに記載されているベンチマークとの乖離を見る時は注意が必要です。詳細は下記記事を参照して下さい。
参考記事インデックスファンドのベンチマーク(除く配当/プライス、配当込/グロス・ネット)と乖離の評価方法。
マザーファンド
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドはファミリーファンド方式でマザーファンドを介して米国株式に投資します。
実際の運用はマザーファンドを通してバンガード社のETF Vanguard・S&P500 ETF【VOO】に投資します。
画像引用:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド 交付目論見書
Vanguard・S&P500 ETF 【VOO】
Vanguard・S&P500 ETF【VOO】は米国を代表する大型株500銘柄から構成されるS&P500との連動を目指して運用するETFです。
経費率は0.03%と非常に低コスト。
保有する銘柄数は507(2023.2末時点)で組入銘柄上位10は下表の通り。
銘柄 | TICKER | 比率 | |
1 | Apple Inc. | AAPL | 6.60% |
2 | Microsoft Corp. | MSFT | 5.56% |
3 | Amazon.com Inc. | AMZN | 2.50% |
4 | NVIDIA Corp. | NVDA | 1.73% |
5 | Tesla Inc. | TSLA | 1.65% |
6 | Berkshire Hathaway Inc. | BRK.B | 1.65% |
7 | Alphabet Inc. | GOOGL | 1.61% |
8 | Alphabet Inc. | GOOG | 1.43% |
9 | Exxon Mobile Corp. | XOM | 1.35% |
10 | UnitedHealth Group Inc. | UNH | 1.33% |
データ引用:米国Vanguard社サイトより
アップル、マイクロソフト、アマゾンといった米国のみならず世界を代表する企業が上位を占めています。
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手数料(信託報酬、実質コストなど)
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドの信託報酬は0.0638%(税込み)。
これに投資先ETF VOOの経費率 0.03%を加えて、
実質的な信託報酬は0.0938%(税込)。
実質コストは、2023.9.14に3期目の決算を迎え0.104%(税込)。初回決算0.114%、2期目決算0.105%よりさらに下がりました。
信託報酬以外のコストが非常に低くなっていますが、これはマーケットメーカーから直接VOOを購入し、売買委託手数料が0になっている為との事。
勿論、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額は無です。
他社 米国株式インデックスファンドとの信託報酬・実質コスト比較
S&P500、及びベンチマークは異なりますが米国株式に投資する他社の低コスト・インデックスファンドと比較してみます。
*ファンド名下の[]内はベンチマーク。[CRSP US]はCRSP USトータル・マーケット・インデックスの略。
*信託報酬・実質コストは税込み表記。
(注)下表は基本的に最新の情報に随時更新しています。よって記事中の記載と異なる場合がありますが、その際は下表の値が最新の情報となります。
*eMAXIS Slim米国株式は2023.4.25以降の信託報酬、及び、信託報酬引下げを考慮した実質コストで記載
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト | |
---|---|---|---|
1 | PayPay投資信託インデックス アメリカ株式 [CRSP US] | 0.0806% | --- |
2 | PayPay投信米国株式インデックス [Morningstar US] | 0.0915% | 0.320% |
3 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) [S&P500] | 0.09372% | 0.106% |
3 | たわらノーロードS&P500 [S&P500] | 0.09372% | --- |
3 | はじめてのNISA米国株式(S&P500) [S&P500] | 0.09372% | --- |
3 | eMAXIS Slim 全米株式 [MSCI USA IMI] | 0.09372% | --- |
7 | SBI・V・S&P500インデックス [S&P500] | 0.0938% | 0.104% |
7 | iシェアーズ米国株式(S&P500)インデックス [S&P500] | 0.0938% | 0.108% |
7 | SBI・V・全米株式インデックス [CRSP US] | 0.0938% | 0.110% |
10 | SMBC・DCインデックスファンド(S&P500) [S&P500] | 0.0968% | 0.140% |
10 | My SMT S&P500・インデックス [S&P500] | 0.0968% | 0.291% |
10 | My SMT ダウ・ジョーンズ・インデックス [NYダウ] | 0.0968% | 0.117% |
13 | Tracers S&P500配当貴族インデックス [S&P500配当貴族] | 0.1155% | --- |
14 | SBI・V・米国高配当株式インデックス [FTSE High Dividend Yield] | 0.1238% | 0.149% |
15 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド [CRSP US] | 0.1620% | 0.186% |
16 | 楽天・米国高配当株式インデックス [FTSE High Dividend Yield] | 0.1920% | 0.237% |
17 | PayPay投信 NYダウインデックス [NYダウ] | 0.1980% | 0.449% |
18 | PayPay投信NASDAQ100 [NASDAQ100] | 0.2024% | 0.702% |
19 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ>NASDAQ100 [NASDAQ100] | 0.2035% | --- |
20 | つみたて米国株式(S&P500) [S&P500] | 0.2200% | 0.235% |
20 | iFree S&P500・インデックス [S&P500] | 0.2200% | 0.247% |
20 | NZAM・ベータ・S&P500 [S&P500] | 0.2200% | 0.335% |
23 | NZAM・ベータ・NYダウ30 [NYダウ] | 0.2310% | 0.355% |
24 | SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100 [NASDAQ100] | 0.2388% | --- |
25 | Smart-i S&P500インデックス [S&P500] | 0.242% | 0.385% |
26 | iFree NYダウ・インデックス [NYダウ] | 0.2475% | 0.263% |
26 | たわらノーロード NYダウ [NYダウ] | 0.2475% | 0.267% |
- | eMAXIS NYダウインデックス [NYダウ] | 0.6600% | 0.676% |
米国株式に投資するファンドの中でSBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、2023.4.25に信託報酬を引下げるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、そしてPayPay投信などに若干負けているものの概ね最低水準の信託報酬(税込)。そして実質コストでは最安値です。
楽天・全米株式インデックスやiFree S&P500インデックスには大きな差をつけています。
SBI・V・S&P500の配当に対する税制上の不利(三重課税)は無し。
米国ETFに投資する場合、所有する株式から出る配当の課税が現地国、米国、そして最終的には日本と三重課税になる事があります。
しかし、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは米国だけに投資するファンドですので、現地国=米国となり配当に対する税制上の不利は生じません。
国内から直接投資するeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と同じです。
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SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(SBI・バンガード・S&P500)の運用状況
資金流出入額 & 純資産総額 (評判・人気は?)
月次資金流出入額、純資産総額からSBI・V・S&P500インデックス・ファンドの売れ行き・人気を見てみます。
(*)月次資金流出入額は、日々の純資産総額の増減額に騰落率を考慮して算出した概算値です。
(*)SBI・V・S&P500の資金流入額には当初募集期間の金額は含まれません。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは2019年9月26日設定(2019年9月12日より募集)と比較的新しいファンドですが、右肩上がりで資金流入が増えており、2021年以降、150~350億円(/月)と巨額の資金流入があります。
純資産総額も僅か3年5カ月で7,999億円(2023.2末時点)。1兆円到達も見えてきました。
さすがにeMAXIS Slim米国株式には敵いませんが、十分売れている、人気のあるファンドです。
運用状況は?
インデックスファンドでは、ベンチマークとの乖離が小さい事がファンド評価の重要な要素です。そして、乖離がなければ、そのコストに応じた騰落率になる筈です。
下図は2023年2月末日時点の実質コストに対する1年騰落率を複数のファンドでプロットしたものです。
米国ETF Vanguard VOOのデータもプロットします。
*VOOは分配金10%課税後再投資した場合の終値での円換算騰落率。(終値は米国Yahoo Finance、分配金は米国Vanguard社サイトより引用)
(多くのファンドが乖離がないであろうとの前提のもと管理人の主観で決めた)配当課税を適切に考慮した真のベンチマーク(図中ピンクの星印)から決まるコストと騰落率の関係が図中グレーの点線です。このグレーの点線上にあればコスト要因以外でのベンチマークとの乖離がないと推測できます。
多くのS&P500連動型インデックスファンドが図中点線上にあり、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドも概ね点線上にのっています。
ただ、厳密には若干マイナス側に位置し、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)より騰落率が低くなっています。
参考までに1年前、2022年2月末日時点の1年騰落率も見てみます。
この時は、図中点線より大きく下方に位置し、(配当課税を適切に考慮した真の)ベンチマークに対しマイナス乖離が起きていた可能性があります。
VOOと比較しても、VOOとSBI・Vのコスト差以上に騰落率の差が大きくなっています。
この乖離の要因の一つとして、現金比率の高さ(とっても2023.2末時点で0.4%程度)が考えられますが、2023.2末時点より1年騰落率が高かった2022.2時点は、その影響がより顕著になった為と推測します。
勿論、騰落率がマイナスであれば、SBI・Vの騰落率は他ファンドより高くなる(下落率が小さくなる)と思われます。
繰り返しになりますが、本記事でのベンチマークとの乖離とは、国内課税を適切に考慮したベンチマークに対する乖離を意味します。S&P Dow Jones Indiciesが公表しているS&P500指数値(ネット/円換算)との乖離で見れば、2022.2末時点では上図にあるようにほぼ0となります。どちらのベンチマークとの乖離を重視するかは読者の方のご判断にお任せします!
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドの分配金
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは分配金を出した実績はありません。
これから資産を築いていこうとする資産形成期においては分配金を出さない投資信託の方が有利です。
分配金を出すか否かは運用会社が決定しますが、多くのインデックスファンドが分配金を出さない、無分配としています。
勿論、保有する株式から出た配当はファンドの資産となり、基準価額の上昇につながります。
最新の騰落率[利回り](eMAXIS Slim米国株式との比較) ~2023年8月末日時点~
*本章は原則毎月更新します。
最新の騰落率をライバルファンドとともにまとめます。
*3,5年騰落率は年率表記。
[表をクリックすると拡大します]
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、直近の騰落率でもeMAXIS Slimに騰落率で負けています。
まだ、運用の安定性(=本サイトで定義するベンチマークとの連動性)という点で懸念があるように思えます。
尚、楽天・全米株式インデックス・ファンド、SBI・V・全米株式インデックス・ファンドはベンチマークが異なりますので参考値として見て下さい(中小型株有無の違い)。
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まとめ
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、S&P500をベンチマークとするインデックスファンドの中ではeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、たわらノーロードS&P500に次いで信託報酬が低く、さらに他のベンチマークを含め米国株式インデックスファンドの中でも概ね最低水準の信託報酬です。
そして3期目の決算を迎え、実質コストでは最安値です。また、設定から僅か3年半弱にも関わらず早くも大きな人気を集めています。
課題は、現時点で未だ(他の類似ファンドから推定される)ベンチマークとの乖離が生じ、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)に騰落率で負けることがある事。
いずれにせよ、米国株式を中心に投資したい方にとって、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックス・ファンド等とともに有力な選択肢の一つとなるファンドです。
販売会社
SBI・V・S&P500インデックスファンドは下記の金融機関で購入出来ます。
また投資信託保有でポイントもたまります(一部ファンドを除く)。
*マネックスカードの発行にはマネックス証券の口座開設が必要です。
公式サイト(PR)マネックス証券
また投資信託保有でTポイント、Pontaポイント、dポイントがもらえます。さらにT/Pontaポイントで投資信託を購入できます。
公式サイト(PR) SBI証券
*三井住友カード(NL)なら年会費永年無料、三井住友カード ゴールド(NL)は1年間だけでも年間100万円以上利用(一部取引は集計対象外 ※対象取引や算定期間等の実際の適用条件などの詳細は、三井住友カードのホームページを必ずご確認ください。)すれば翌年以降は利用額によらず年会費永年無料。
公式サイト(PR)三井住友カード(NL)
公式サイト(PR)三井住友カード ゴールド(NL)
勿論、つみたてNISA対象のファンドです。
*当初SBI証券だけの取り扱いでしたが、2020.4以降販売会社が増えてきました。
ただ2023.3時点楽天証券では取り扱っていません。
尚、個人型確定拠出年金(iDeCo)で取扱っている金融機関はありません。
ライバルとなるファンド
iFree S&P500インデックス
他の米国株式(S&P500、CRSP USトータル・マーケット・インデックス)インデックスファンドとの比較、最新の人気・運用状況は下記記事を参照して下さい。
インデックスファンドの信託報酬、実質コスト、純資産総額の一覧は下記記事を参照して下さい。